お読みいただいても構いません。
経営相談における結果責任について、
書かせていただくための実例です。
平成20年9月の下旬のことです。
ある飲食店で、遅い昼食をとっていました。
午後2時過ぎだったと思います。
そこでの個人事業主と私とのやり取りを、
再現していきたいと思います。
「おにいさんは、何やったはる方。
サラリーマンには、見えへんけれど。」
「はい。こんなことをやってるんです。」
(と言って、持っていたセールスレターを手渡す)
(そのセールスレターに目を通し終えた頃)
「へぇー。つまりはあれですか。
経営コンサルみたいな仕事ですかな。」
「はい。経営者の方とお会いして、
自分の会社の強みを知ってもらう方法を、
お伝えしているところなんですよ。
すいませんが、このお店で一番売れ筋の食べ物は、
何なのかを、教えてくれませんか。」
「んー。そうやなぁー。
今、おにいさんが食べている親子丼は、
よう出てますな。男の人は玉子、好きやからね。
それに、中華そばも、よう出ますな。
それと、あとはね・・・。」
「まんべんなく、売れているということですね。」
「まぁ、そういうことかもしれんが・・・。
ちょっと待て、にいちゃん。
ほんだら、うちの店に、強みはないっていうことになるのか。」
「なりませんよ。僕のような一元さんにも、
入りやすい店構えですもの。それも強みですよ。」
「ほぉー。入りやすかったですか。
それは、うれしいこと、言うてくれはりますな。
ところで、失礼なこと聞くけど。おにいさん。
これで、おたくの商売、成り立ってるんですか。」
「成り立ってません。」
「ほんだら、あかんがな。おにいさん。
そんな人に、誰が仕事、頼みますねんな。」
「大将みたいな人です。」
「えっ。」
「大将みたいな人が、お客さんになってくれはります。」
「なんで。」
「僕に興味を持ってくれたはるからですかね。」
「そんな甘い事、言うてたら、あかんで。おにいさん。
そんな甘いもんやないよ。商売は。
あっ、そうそう。ちょっと聞きたいことがあるんやけど、
今、かまわんかな。ちょっとだけやから。」
「どうぞ。言うてください。」
「経営コンサルに頼んだとすると、いろいろと、
アドバイスしてくれると思うんやけど、
そのアドバイスの通りにした時に、
思い通りの結果が出ないことも、考えられるやろ。
そこで、おにいさんに聞きたいんやけど、
言われた通りにやった場合の結果については、
経営コンサルの人らは、どういう責任を取ってくれはるの。」
「アドバイスを受け入れて、その通りに行動した。
その行動に対して、思ったほどの結果が出なかった。
その結果について、コンサル側が結果責任を取ってくれるのか。
そういうことを、お尋ねなんですね。」
「そうそう。そこが気になってたんですよ。
どないになるのかが、気がかりでしょ。
アドバイスを受ける側の立場からしたら。」
「結果責任は、取らないのが通常です。
結果責任は、そのアドバイスを受け入れた時点で、
負わないことになると思います。」
「なんで。なんで、そないになるの。
こっちは、言われた通りにやるんですよ。
言われた通りにやる。それやのに、
何の責任もないんですか。コンサル側には。」
「ないでしょうね。」
「おかしいやろ。それは、どう考えてもおかしいよ。
結果責任を取ってもらわんと、安心できないでしょ。違いますか。」
「月あたり、見込みより30万円多い売り上げが生じた場合、
大将は、その30万円を、コンサル側に渡す気がありますか。
経営コンサルタントへの成功報酬として、上ブレた利益を、
そのまま渡す気があるのなら、その批判に耳を傾けます。」
「んー。」
「まだ続けられますか。もうやめにしませんか。
ああ。ひと言だけ、言わせてもらいます。
もっと、いいお米を仕入れられたほうがいいと思います。
定食をやっておられないので、不思議に思っていましたが、
丼物を食べてみて、わかりましたよ。
なぜ、定食がないのか。なぜ、定食を出さないのかが。
米がおいしくないから。だから、中華そばが売れているのです。」
レジで、会計を済ませた後、
このやり取りを一部始終聞いておられた奥さんが、
「ありがとうね。」と言いながら、
ティッシュペーパーに包んだものを手渡してくれました。
その中には、1万円の新券が入っていました。
「いいのいいの。ありがとうね。」
忘れられないお客様でした。
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